硫化水素が、コンクリートを溶かしていく。腐食は、放置すれば必ず進みます。
水に濡れて傷むのではありません。槽の中で起きているのは、化学反応による侵食です。
汚水槽や雑排水槽のコンクリートが、骨材が見えるほど荒れている——排水槽の清掃時に、こうした状態を指摘されることがあります。これは経年劣化ではなく、硫化水素に起因する化学的な侵食です。
汚水が滞留して腐敗すると硫化水素が発生し、それが気相部で硫黄酸化細菌によって硫酸へと変わります。アルカリ性のコンクリートは酸に弱く、セメント分が溶け出して骨材が露出し、やがて鉄筋まで達します。この反応は、汚水を扱う限り避けられません。
防食工事は、コンクリート表面に樹脂の防食層をつくり、腐食性ガスを躯体に接触させない工事です。株式会社LASは、漏水を伴う槽であっても、止水から防食まで一社で完結できます。地下の止水を本業としてきた会社だからこそ対応できる領域です。
症状の裏には必ず原因があります。原因を正しく捉えることが、再発しない工事の第一歩です。
汚水の腐敗で生じた硫化水素が、湿ったコンクリート面で硫黄酸化細菌により硫酸へ変換されます。この硫酸がセメント分を溶かし、コンクリートを内側から崩していきます。
槽の容量が必要以上に大きいと、汚水が長く留まって腐敗が進みます。東京都の指導要綱でも、槽内の滞留時間をおおむね2時間以内とするよう定められています。
硫化水素は気体となって水面より上に溜まります。そのため常時水没している部分より、水面上の壁や天井のほうが激しく腐食します。点検の際に見落とされやすい箇所です。
槽内に硫化水素が滞留すると、腐食が加速するだけでなく、作業員の安全にも関わります。換気設備の状態も併せて確認が必要です。
槽を空にできる時間は限られています。段取りが工期を決めます。
槽内に立ち入り、侵食の深さ、鉄筋の露出、漏水の有無を確認します。硫化水素濃度の測定と換気を行ったうえで安全に調査します。
槽を空にする必要があるため、施工中の排水をどうするかが工期を左右します。仮設ポンプ、一時貯留、汚泥の適正処理まで含めて計画します。
裏側から水圧がかかっていると、防食層は押されて剥離します。先に高圧注入で水みちを断ってから、次工程に進みます。
高圧洗浄とケレンで劣化層を除去し、侵食で失われた断面をポリマーセメントモルタルで復旧します。鉄筋が露出している場合は防錆処理を施します。
躯体と防食層の密着を確保する下塗りを行います。含水状態に応じた材料を選定します。
ポリウレア・ビニルエステル・エポキシから、腐食環境に応じて選定した材料で防食層を形成します。隅角部や配管貫通部は増塗りで確実に。
膜厚測定、ピンホール検査などを行い、施工記録とともにお引渡しします。次回点検時期の目安もお伝えします。
「水に濡れているから傷む」のではありません。槽内で起きているのは、化学反応による侵食です。
槽内に長く留まった汚水は、酸素が乏しい状態で腐敗が進みます。ここで硫酸塩還元菌が働きます。
腐敗によって硫化水素が生じ、水中から気相部へ放散されます。あの独特な悪臭の正体です。
湿ったコンクリート表面に付着した硫化水素を、硫黄酸化細菌が硫酸へと変換します。
アルカリ性のコンクリートは酸に弱く、セメント分が溶け出して骨材が露出し、やがて鉄筋まで達します。
意外に思われるかもしれませんが、常に水に浸かっている部分より、水面より上の壁や天井のほうが腐食は進みます。硫化水素は気体となって上部に溜まり、結露した水分と反応して硫酸をつくるためです。
点検時は水位の上、特に天井付近をご確認ください。コンクリートが白っぽく脆くなっていたり、指でこすって砂状に崩れるようであれば、侵食はかなり進行しています。
放置すれば、壁厚の減少 → 鉄筋の腐食 → 漏水・強度低下へと進みます。躯体そのものの造り直しになれば、防食工事とは桁違いの費用がかかります。
排水槽は「気づいたときに見る」設備ではありません。法令と行政指導で頻度が定められています。
| 根拠 | 内容 | 頻度 |
|---|---|---|
| 建築物衛生法 施行規則第4条の3 | 特定建築物における排水設備の清掃 | 6ヶ月以内ごとに1回 |
| 東京都 ビルピット対策指導要綱 | 排水槽の清掃(都の指導基準) | 少なくとも4ヶ月に1回 |
| 同上 | 排水槽・附帯設備の定期点検 | 1ヶ月に1回 |
| 同上 | 点検・清掃・補修の記録の保管 | 5年間 |
つまり、年に2〜3回は必ず槽内を確認する機会があるということです。清掃の際に「コンクリートが荒れている」「骨材が見えている」と指摘されたら、それが防食工事を検討すべきサインです。
汚水槽や厨房排水が流入する雑排水槽は負荷が高く、都も清掃回数を増やすよう指導しています。負荷が高い=腐食も速い、ということです。
腐食環境の程度によって適する樹脂が変わります。過剰でも不足でも、費用対効果を損ないます。
| 材料 | 特徴 | 主な適用 |
|---|---|---|
| ポリウレア樹脂 | 吹付けで数分硬化。伸び性能が高く躯体の挙動に追従。耐薬品性・耐摩耗性に優れ、大面積を短工期で施工できる | 汚水槽、雑排水槽、水槽、大型ピット |
| ビニルエステル樹脂 | 耐酸性が高く、硫酸環境に強い。ガラスクロスと積層して厚膜の防食層を形成できる | 腐食が激しい槽、下水道関連施設 |
| エポキシ樹脂 | 接着性に優れ、硬化収縮が小さい。比較的安価で、腐食環境が穏やかな部位に | 湧水槽、機械室ピット、軽度の環境 |
| 断面修復材 | 侵食で失われたコンクリートを復旧。防食層の下地を整える | 骨材露出・鉄筋露出がある槽 |
公共の下水道施設では、日本下水道事業団の指針に沿った工法選定が求められます。当社は公共インフラの管路止水も手がけており、この基準での施工が可能です。
防食ライニングの耐用年数は、環境にもよりますがおおむね10年が目安です。前回の施工から10年が経過している槽は、点検の対象とお考えください。
水洗便所汚水を貯留する槽。硫化水素の発生が最も多く、腐食が激しい部位です。
厨房・洗面・浴室からの排水を受ける槽。特に厨房排水が入る槽は油分と有機物で負荷が高くなります。
汚水と雑排水を合わせて受ける槽。両方の負荷がかかります。
地下からの湧水を集める槽。清掃義務の対象外ですが、放置すると腐敗・害虫の温床になります。
エレベーターピット、機械室ピット、排水ピット。狭所での作業に慣れています。
飲料水に関わる槽は、衛生基準に適合した材料を選定します。
劣化した槽では、腐食と漏水が同時に起きていることが少なくありません。躯体が薄くなり、ひび割れから地下水が入り込んでいる——そんな状態です。
この場合、防食ライニングだけを施しても不十分です。裏側から水圧がかかっていれば、塗った膜は押されて剥がれます。先に止水し、水みちを断ってから防食層をつくる。この順序を守らなければ、数年でやり直しになります。
株式会社LASは地下漏水の止水を本業とし、エレベーターピットの漏水も数多く手がけてきました。止水と防食を分けずに、一社で完結できる——それが当社にご相談いただく理由です。
水が出ている状態でも高圧注入で止水できます。防食専業の会社では対応が難しい領域です。
エレベーターピットや地下ピットでの施工実績があります。搬入経路が限られる現場も想定内です。
硫化水素・酸素欠乏のリスクがある環境です。換気、濃度測定、送気マスク、監視員配置を徹底して作業にあたります。
清掃で劣化を発見された際の施工パートナーとして対応します。元請様の窓口を維持したままの協業も可能です。
下記の条件により変動します。まずは槽内を拝見させてください。
現地調査・お見積りは無料です。概算をご確認いただいたうえで、ご判断ください。
調査から引渡しまで、工程ごとに品質を確認しながら進めます。
槽の種類、容量、劣化状況をお伺いし、現地を確認します。清掃業者様からのご相談も承ります。
腐食環境に応じた材料と工程をご提案します。仮設排水の計画も含めてご提示します。
排水・汚泥処理を行い、換気と安全設備を設置します。
漏水があれば止水し、劣化層の除去と断面修復を行います。
プライマーから防食層まで、規定の膜厚で施工します。
膜厚・ピンホールを確認し、記録とともにお引渡しします。
漏水もひび割れも、まず「なぜ起きたのか」を徹底的に突き止めます。症状を隠す表面補修ではなく、侵入経路そのものを断つから、再発を防げます。
水圧のかかる地下・ピット・打継ぎ部の止水は、乾いた場所の補修とは別物です。難易度の高い地下漏水を専門領域として数多く手がけてきました。
コンクリート工事で培った「良い躯体とは何か」という知見が、改修・防水の精度を支えます。建物を長い時間軸で捉えてご提案します。
1級防水施工技能士・1級左官技能士が在籍し、自社で施工にあたります。丸投げをしないため、指示の伝達漏れや品質のばらつきが生じません。
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に対応しています。下記エリアを中心に、汚水槽・雑排水槽・各種ピット防食工事を承っています。
染み出し・ひび割れ・雨漏り。気になるサインがあれば、調査だけでもお気軽に。
現地調査・お見積りは無料。土日対応・夜21時まで調査可能です。